予防医療・検診
動物たちの健康を守るためには、「予防する」「検診をする」ということがとても大切です。
狂犬病予防など法律で定められているものはもちろん、ワクチン接種によって危険な伝染病から守ってあげることができます。
また、年齢に応じた検査項目を取り入れた検診は、病気の早期発見に重要な役割を果たします。
狂犬病の予防接種
4月から狂犬病予防接種が始まります。
生後90日を越えると小イヌは、母イヌから譲り受けた免疫が失われるので、新たに予防接種を受けて抵抗力をつける必要があります。注射の有効期間は1年間ですから、生涯に渡って毎年摂取するのが飼い主さんの義務となります。
混合ワクチン
任意のワクチンですが、死亡率の高い病気や後遺症の残る病気ありますので、1年に1回の追加接種が望ましいです。
初年度はワクチン接種の時期や種類によって回数が異なります。
フィラリア予防
5月下旬頃〜11月下旬頃までが予防期間です。
フィラリアは蚊から感染します。従って蚊の飛来する間は予防が必要です。蚊を見かけた月から蚊のいなくなった次の月までです。途中で中止したことでフィラリア症になったイヌを毎年みかけます。30cmになるフィラリア虫を心臓の中に住ませないために、今年もきちんと投薬なさっていただきたいです。
ノミ・ダニ予防
暖かくなるとノミやダニが活動を開始します。ノミやダニの寄生が疑われたら、洗体して除く他に、駆除薬の入った首輪とか、薬を皮膚に滴下するなど、駆除の方法がいろいろあるので上手に選択してください。ノミの成虫は爪で潰すと卵が飛散するので止しましょう。マダニなど大きなダニを除く場合には、ダニの腹部を持ってよじってから引っぱると、頭を残さないですみます。
避妊・去勢手術
避妊・去勢手術は、望まれない子犬や子猫を増やさないのはもちろん、発情のストレスをなくし、さらに多くの病気の予防にも効果が認められていることから、進んで手術を受けられる飼い主様が増えています。
もし、将来的に愛犬・愛猫に子供を作らせる予定がないのであれば、早めに避妊手術・去勢手術を受けてあげてください。
歯周病予防
歯垢や歯石などが付着する前に、1日1回のデンタルガムの投与、歯磨き剤(ジェル・ペースト)・歯磨きなどを用いてのブラッシングをお勧めしています。
歯磨きのやり方がわからない場合はお気軽にスタッフにお声がけください。
季節と病気 -予防のためのアドバイス-
春 Spring
洗体の前に…
日が長くなってまわりが明るくなると、イヌやネコの身体の毛の汚れが気になってきます。洗体の機会が増えますが、長毛ではもつれををほどいてから行ってください。濡れるともつれた毛はフェルト状に固まります。フェルトの下は例外なく皮膚病を起こしています。シャンプーは薄めて泡立ててから使うことをおすすめします。
夏 Summer
暑さから守ってあげましょう。
野外で生活している動物達は、住み処を自由に選んで夏の暑さがしのげます。
飼われている動物達は、飼い主さんまかせで住む場所の選択はできません。特にケージ飼いの動物に云えます。一年中、毛皮を身にまとっている動物が、体温の調節するのは、耳介の内側と吐く息と足の裏からです。足の裏に毛が生えているうさぎが、放熱できるのは、耳と吐く息だけです。特にうさぎは夏が苦手です。外界の温度が上昇すると体に熱が籠もって40℃を超える状態が生じます。熱中症とか熱射病とか言われる状態がおきるのです。
ケージ飼いでは、先ず風の通りの良い場所を選んでケージを据えましょう。
キャリーケージに入れて自動車で運搬するときは、エアコンだけに頼らないで、ペットボトルに入れた水を凍らして、ケージの近くに置くなどして、まわりの温度をわずかでも下げるように気を配って下さい。給水にも気をつかいましょう。生ぬるい水を据え置くことをしないで、冷水を細めに与えて下さい。
食欲も落ちます。朝食は涼しいうちに採らせ、夕食は日が落ちてから与えるとよいでしょう。
夏の間の散歩は、陽の昇る前とか陽が落ちて地面のどかりが消えた頃を見計らって行いましょう。
体温が上昇して、40℃を超えてしまったら、体の熱を下げる方法をとります。急激に冷やさないで汲み置き水から始めて、順次、冷水にして体を浸します。タオルに包んで冷水を注ぐ方法も一法です。同時に扇風機などで風を送ってやりましょう。うさぎには、冷水に浸したガーゼなど軽く絞って耳に巻いてやると良いでしょう。体温が下がっても、一度病院を訪れて診察を受けることを勧めます。
秋 Autumn
ノミとダニの寄生虫について
暑い夏から、やっと抜け出せたこのごろですが、汚れた被毛やノミなど体表の寄生虫を除いてやる季節でもあります。すぐに厳しい冬がやって来ます。寒くなると水温とか乾燥など多くの難儀なことが生じます。この時期、早めに洗体などグルーミングを終えたいです。皮膚病を患っている患者では一層それが云えることです。
初秋は幼ダニの数はピークに達するそうです。その幼ダニも、次いで成長した若ダニも、当然ながら成ダニもすべて吸血するということです。それらに汚染された場所では常時予防する必要があると思えます。
ネコノミについて、成書で知ることが出来たのは、成虫は寿命が約一か月で、およそ150個の卵を産むこと、卵は床に落下して、ふ化して幼虫となり、ついでさなぎから成虫となる変態を行う昆虫であることです。ノミは季節にさほど影響を受けない寄生虫であると云えるようです。成ノミは血液を吸って生きるので排泄する糞は血液の塊そのものと云えます。ノミの寄生が疑われたら、かきむしる手つきで体表にある糞を落下させてみましょう。水で濡らして、血液がにじめばノミの寄生が確められます。 駆除は従来のように洗体による方法・駆除薬を含ませた首輪を使う方法・皮膚にスポイド様の小さな容器に入れた薬を滴下する方法など多々あります。何を選ぶかは獣医師に相談されると良いでしょう。
冬 Winter
風邪の流行る季節です
気圧配置が西高東低となると本格的な冬が到来します。気温はぐんと下がって寒さは厳しくなり、空気は乾燥してきます。乾燥は暖房の入る家の中では一層進みます。乾燥はウイルスの活動を助けて、冬は風が流行ります。動物達もその例にもれません。ネコでは鼻気管炎、イヌではジステンパーなどがあげられ、うさぎではスナッフルを多く見かけるようになります。
冬は乾燥から守るために、特に加湿に心掛けて下さい。そして清浄な空気を取り入れ、換気につとめることも大事です。また、寒いと飲水量や、排泄回数が減少することが加わって、ネコでは尿閉(尿の出の悪い病気)を多く見かけるようになります。水の凍結を防止して、清潔な水を常に補充してやりましょう。
コタツなど電気製品の暖房時では、コードを噛らせないよう被覆して、感電事故を防止してください。気温は、夜明け前に最も低くなります。厳寒の時期には、このことを頭に入れて、保温につとめて下さい。特に屋外で生活させている場合は、隙間風や雨雪の降り込みを防ぐ対策をして、動物が生活しやすい環境を整えてあげて下さい。