うさぎのメディカルケア

うさぎの病気の多くは、うさぎ特有の身体のつくりを考えない飼い方で起きています。
身体の特徴をつかんでうさぎを飼うことが、病気の何よりの予防法です。

うさぎの歯の特徴

うさぎの歯の特徴

ウサギの歯並びは、ネコやイヌとは異なります。歯式は2/1・0/0・3/2・3/3で全部で28本です。上顎切歯(前歯)は二重になっていて、内側にあるのは小さな切歯です。犬歯は持ちません。
ウサギの歯は歯根が閉じないので生涯に渡って伸び続けます。咬合が正しいと先端は磨滅され一定の長さを保ちますが、不正咬合の場合は、1か月にほぼ1cmは伸びます。

切歯の不正咬交

不正な咬合を放っておくと、下顎の切歯は上に向かって伸び続けますし、上顎の切歯はカーブして口内に向かうようになって、採食不能となります。
咬合不正の原因は、先天的に顎骨の形成不全のものもあるようですが、ケージを切歯にかけて引っ張る習慣でみられます。

正常咬合のレントゲン像
正常咬合のレントゲン像。
歯の異常伸長
切歯の異常伸長がみられる。
歯根が伸長して、下顎骨下線の形態が不正
歯根が伸長して、下顎骨下線の形態が不正になっている。上顎の根尖が眼窩に突出している。
根尖の透過像が消失
根尖の透過像が消失し、全歯に石灰化がみられる。下顎の切歯は吸収されている。
下顎骨の融解と増成がみられ、巨大な膿瘍が形成されている

臼歯の不正咬交

歯根の根尖やその周囲が障害をうけると、形成や萠出が止まってしまいます。歯槽骨が破壊されると歯にゆるみがきて、上顎の臼歯は外側に倒れて頬部に、下顎の臼歯は内側に倒れて舌を傷つけます。ウサギは痛みのため食欲が失われますし、常に顎の下が流涎で濡れてきます。また頭部には、根尖部の膿瘍が原因で膿瘍が頻発します。


咬合不正の歯を見出したら、放置しないで伸びた歯を切り揃えてやります。切端は研磨して調整します。膿瘍の原因を作っている歯は抜歯を必要とすることもあります。ソフトの餌の給餌が原因するといわれていますが、再発防止には、ハードタイプのドライフードは避けたいものです。切歯には、ヘイキューブなどのハードのものを与えることがすすめられています。